コラム

2026年3月14日

猫の首にしこりがある…それは甲状腺癌かも?特徴や治療方法を獣医師が解説

猫の首元をなでていると、「小さなしこりのようなもの」に気づくことがあります。
痛がる様子もなく元気にみえると、「様子をみても大丈夫かな」と考えてしまう方も多いでしょう。

しかし、首のしこりの背景には腫瘍性疾患が隠れている可能性があります。
その一つが甲状腺腫瘍(甲状腺癌)です。

今回は、猫の首にできるしこりの原因として考えられる甲状腺腫瘍の特徴や症状、治療方法について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、治療選択を考える参考にしていただければ幸いです。

首を撫でられる猫

猫の首のしこりで考えられる病気

猫の首に触れるしこりには、さまざまな原因が考えられます。

  • リンパ節の腫れ
  • 炎症
  • 膿瘍
  • 良性腫瘍
  • 悪性腫瘍(がん)

しこりの中には良性のものもありますが、徐々に大きくなるしこりや硬いしこりは注意が必要です。
猫の体にできる腫瘍は触って気づくことが多く、早期発見が重要とされています。
日頃から猫の体を触ってあげて早く異常に気がついてあげることが望ましいですね。

 

甲状腺腫瘍(甲状腺癌)とは

猫の首にしこりが触れる場合、その原因はいくつか考えられますが、今回はその中の一つである甲状腺腫瘍について説明します。
甲状腺は気管の両側に位置し、代謝や体温調節に関わるホルモンを分泌する重要な器官です。
この甲状腺に腫瘍ができることがあります。
腫瘍を大きく分けると良性の甲状腺腫瘍(腺腫など)と悪性の甲状腺癌の二つです。
良性の場合はゆっくり大きくなることが多いものの、腫瘍が大きくなると首にしこりとして触れるようになることがあります。

猫の甲状腺の病気としては「甲状腺機能亢進症」がよく知られています。
この病気は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されることで起こりますが、その原因として甲状腺の過形成や良性腫瘍(甲状腺腺腫)が関与していることが多いです。
しかし、まれに甲状腺癌などの悪性腫瘍が関与する場合もあります。

また、甲状腺に腫瘍ができて大きくなると周囲の気管や食道を圧迫して呼吸や飲み込みに影響を及ぼすことがあります。
そのため、首のしこりに気づいた場合には、早めに原因を調べることが大切です。

 

こんな症状がみられたら注意

甲状腺腫瘍では、次のような変化がみられることがあります。

  • 首元にしこりや腫れがある
  • 食欲はあるのに体重が減る
  • 落ち着きがなくなる
  • 呼吸が苦しそうに見える
  • 飲み込みにくそうにする

腫瘍が周囲の気管や食道を圧迫すると出てくる大きな影響が、呼吸や嚥下の変化です。
また、高齢の猫では「年齢のせい」と見過ごされやすい変化の中に、病気のサインが隠れていることもあります。
こうした変化に気づいた場合は、様子を見続けるのではなく、一度動物病院で甲状腺の状態を確認してもらうことが大切です。

餌皿の前で待つ猫

診断のために行われる検査

首のしこりが見つかった場合、原因を特定するためにいくつかの検査が行われます。
まず触診によって確認されるのはしこりの大きさや硬さ、可動性です。
その後、超音波検査やX線検査により腫瘤の位置や周囲組織への影響が評価されます。
さらに詳しい診断のために、手術などで摘出した組織を専門の検査機関で調べる「病理検査」が行われることもあります。
この検査では腫瘍が良性か悪性かなど、より正確な診断を受けることが可能です。
腫瘍性疾患では、正確な診断が治療方針を決めるうえで非常に重要となります。

 

甲状腺癌の治療と外科手術

甲状腺癌が疑われた場合、内科治療では効果が期待できないことも多いです。
そのため治療の中心となるのは外科手術です。
腫瘍が限局している場合には、甲状腺の腫瘍部分を摘出することで根治が期待できるケースがあります。
外科手術では周囲の血管や神経、気管などの重要な構造に配慮しながら慎重に摘出を行います。

腫瘍の広がり具合によっては、追加治療や継続的な経過観察が必要になることもあるでしょう。
首の手術と聞くと不安を感じる方も多いかもしれませんが、適切なタイミングで治療を行うことが猫の生活の質を守ることにつながります。

当院でも実際に猫の首にできたしこりが甲状腺癌だった症例に出会っています。
この症例の甲状腺癌は外科手術にて摘出を行いました。
詳しくは以下の記事もご覧ください。
猫の甲状腺癌について|実際の症例をまじえて紹介

手術器具を準備する様子

早期発見が予後を左右します

猫は体調の変化を隠しやすい動物です。
そのため、飼い主が触れ合いの中で異変に気づくことがとても重要です。

  • 首元をなでたときに違和感がある
  • 以前よりしこりが大きくなっている
  • 体重減少や呼吸の変化がみられる

しこりの中には緊急性の低いものもありますが、悪性腫瘍であった場合は早期治療が予後に大きく影響します。
上記のような症状があったら、自己判断で様子を見続けるのではなく早めに動物病院を受診しましょう。

 

まとめ

猫の首にできるしこりの原因はさまざまですが、甲状腺腫瘍や甲状腺癌の可能性もあります。
腫瘍が進行すると呼吸や飲み込みに影響を及ぼすこともあるため注意が必要です。
早期に診断し、適切な治療を行うことで、猫が快適に生活できる時間を守ることにつながります。

当院では甲状腺疾患や腫瘍に対する外科治療にも対応しております。
首元のしこりや体調の変化に気づいた際は、どうぞお気軽にご相談ください。
早めの受診が大切な家族の健康を守る第一歩となります。

愛知県名古屋市西区
庄内通どうぶつ病院

   

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