コラム

2026年1月29日

猫の骨肉腫について|実際の症例をまじえて紹介

ボールで遊ぶ白い猫

猫がかかる腫瘍の中には、骨に発生する「骨肉腫」という病気があります。
犬では比較的よく知られている腫瘍ですが、猫では発生頻度はそれほど高くありません。

 

  • 足が急に腫れてきている
  • 足をかばって歩いている
  • 触るととても痛がる

このような症状が見られる場合、骨の腫瘍が原因となっている可能性があります。
今回は、実際に当院で治療を行った高齢猫の骨肉腫の症例をもとに、病気の概要と治療の流れについてご紹介します。
ぜひ最後までお読みいただき、愛猫の治療の選択肢を考える参考にしてください。

 

猫の骨肉腫とは?

骨肉腫は、骨に発生する悪性腫瘍のひとつです。
犬では進行が早く転移を起こしやすい腫瘍として知られています。
猫の骨肉腫は犬とは性質が異なり、比較的転移が少なく、長期生存が期待できるケースも多いことが特徴です。
発生部位としては四肢の骨に多く、痛みや腫れ、歩行異常などをきっかけに発見されることが少なくありません。
高齢の猫でも発症することがありますが、年齢だけを理由に治療をあきらめる必要はありません。

 

猫の骨肉腫の症状

猫の骨肉腫では、次のような症状が見られることがあります。

 

  • 足の腫れ
  • 足の痛み
  • 跛行(びっこをひく)
  • 触ると嫌がる
  • 動きたがらない

骨の腫瘍は強い痛みを伴うことが多く、日常生活の質(QOL)を大きく低下させてしまいます。
早めに原因を調べ、適切な治療を行うことが大切です。

 

猫の骨肉腫の治療方法

猫の骨肉腫の治療では、外科手術による腫瘍の切除が基本となります。
四肢に発生した場合には、断脚によって腫瘍を完全に取り除くことで、完治を目指せるケースも少なくありません。
猫は犬と比べて転移のリスクが低いため、手術単独でも良好な経過をたどることがあります。
高齢であっても、内臓の状態や全身状態に問題がなければ、手術が可能な場合も多く、痛みの軽減や生活の質の改善が期待できます。
また、断脚と聞くと「歩けなくなるのではないか」「生活に大きな支障が出るのではないか」と不安に感じられる飼い主様もいらっしゃるでしょう。
しかし猫は順応性が高く、3本足になっても比較的早く新しい歩き方に慣れ、普段とほとんど変わらない生活を送れるケースが多いです。
痛みの原因となっている腫瘍を取り除くことで、かえって動きが良くなり元気を取り戻すことも。
断脚は見た目の変化が大きい治療ではありますが、愛猫の苦痛を取り除き、生活の質を大きく改善できる大切な選択肢のひとつです。

 

実際の症例紹介

今回ご紹介するのは、17歳の去勢済みオスの雑種猫の症例です。
左後肢の腫れと強い痛みを主訴に来院されました。
診察時には左後肢が大きく腫脹しており、触れると強い疼痛反応がみられました。
当院でレントゲン検査を実施したところ、左後肢の骨に異常な骨の破壊像が確認されました。
過去に他院で手術の際に入れられたプレート周囲から腫瘍が発生している可能性が疑われました。
確定診断のためパンチ生検を行い、病理組織学的検査の結果、骨肉腫と診断されました。
次の画像が検査時のレントゲン画像です。

骨肉腫レントゲン画像

治療と手術の経過

画像検査および病理検査の結果、転移所見は認められず、全身状態や内臓機能にも大きな問題はありませんでした。
飼い主様とご相談のうえ、痛みの除去と生活の質の改善、さらに完治を目指す治療として、股関節レベルでの断脚手術を行う方針としました。
こちらが手術前と手術中の写真です。

猫の骨肉腫術前写真
骨肉腫術中写真

手術は無事に終了し、術後の経過も良好でした。
こちらが術後の患者の様子と、断脚を行った脚の写真です。

猫の骨肉腫術後写真
断脚した脚

大きな合併症もなく、術後まもなく歩行も可能となり、日常生活に支障なく過ごすことができました。
その後、約1年の間再発や転移も認められず、穏やかな生活を送ることができました。
最終的には腫瘍の再発ではなく、老衰によりご自宅で静かに最期を迎えられました。

 

高齢の猫に対する全身麻酔や外科手術に不安を感じられる飼い主様も多いと思います。
しかし、術前にしっかりと検査を行い、内臓機能や全身状態を評価することで、安全に手術を行えるケースも多くあります。
年齢だけを理由に治療をあきらめるのではなく、状態に応じた最適な治療方法を一緒に検討していくことが大切です。

 

まとめ

猫の骨肉腫は、犬と異なり転移のリスクが低く、外科手術によって長期生存が期待できる腫瘍です。
高齢であっても、内臓の状態に問題がなければ、手術によって痛みを取り除き、生活の質を大きく改善できる可能性があります。

 

今回の症例では、17歳という高齢でしたが、断脚手術によってその後1年間、再発なく穏やかな時間を過ごすことができました。
当院では、高齢動物の外科手術や腫瘍外科にも対応しております。
足の腫れや痛みなど気になる症状がある場合には、早めにご相談ください。

愛知県名古屋市西区
庄内通どうぶつ病院

   

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