コラム
2026年2月28日
犬の脾臓腫瘍で貧血になる?|歯ぐきが白いときに考えるべき原因
「犬の歯ぐきが白い」
「最近ぐったりしている」
このような貧血の症状がある場合、犬の脾臓腫瘍が関係している可能性があります。
脾臓腫瘍は高齢犬に多くみられる腫瘍です。
進行すると腹腔内出血を起こし、短時間で急激な貧血を引き起こすことがあります。
本記事では、犬の脾臓腫瘍と貧血の関係、注意すべき症状、受診の目安について解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、犬の緊急時の判断にお役立てください。

犬の脾臓腫瘍とは?
犬の脾臓は血液を貯蔵し、古くなった赤血球を処理する臓器です。
この脾臓に腫瘍ができる病気が脾臓腫瘍です。
犬の脾臓腫瘍では、悪性腫瘍である血管肉腫が発生しやすいと言われています。
血管肉腫はその名のとおり血管由来の腫瘍で、出血しやすい性質を持つことが大きな特徴です。
なぜ脾臓腫瘍で貧血が起こるの?
犬の脾臓腫瘍、とくに血管肉腫では、腫瘍内部や腹腔内で出血が起こることがあります。
出血が起こると、
- 赤血球が失われる
- 循環血液量が減少する
- 全身に酸素が届きにくくなる
といった変化が起こります。
この結果、急性貧血が生じてしまうということです。
とくに腫瘍が破裂した場合には、短時間で大量出血することがあります。
ほんの数時間で立てなくなるケースもあり、まさに時間との勝負です。
腫瘍破裂による急性の貧血は、命に関わる重篤な状態といえるでしょう。

犬が貧血になったときの症状
脾臓腫瘍による貧血では、次のような症状がみられることがあります。
- 歯ぐきが白い
- ぐったりしている
- 呼吸が荒い
- ふらつく
- 突然立てなくなる
とくに歯ぐきの色は、飼い主様がご自宅で確認できる貧血の重要なサインです。
健康な犬ではピンク色ですが、白っぽい、あるいは灰色がかっている場合は注意が必要です。
一時的に回復することもある?
脾臓腫瘍による出血は、一時的に止まることがあります。
そのため、「昨日はぐったりしていたのに今日は少し元気」という状態になることもあります。
しかし、これは安心できる状態ではありません。
再出血のリスクが高く、突然ショック状態に陥る可能性もあります。
一度でも強いぐったり感や歯ぐきの蒼白がみられた場合には、必ず検査を受けることが大切です。
貧血が疑われたときの検査
貧血が疑われる場合には、
- 血液検査
- 腹部超音波検査
- 腹部レントゲン検査
を行い、出血の有無や原因を確認します。
超音波検査では、脾臓に腫瘍がないか、腹腔内に血液が溜まっていないかが評価可能です。
出血量が多い場合には、輸血や緊急手術が必要になることもあります。
貧血というと血液検査による数値が気になる飼い主様も多いと思います。
しかし、貧血は数値だけで判断するものではありません。
同じ貧血でも、ゆっくり進行したものと急激に起こったものでは体への負担が大きく異なります。
とくに急性出血による貧血では、見た目の元気さ以上に体内で危険な変化が進んでいる場合があります。
「まだ歩けているから大丈夫」と思ってしまうこともありますが、立てるかどうかと安全かどうかは別の問題です。
少しでも違和感がある場合には、早めの検査が安心につながります。
とくに脾臓腫瘍では、迅速な診断と適切な初期対応が、その後の治療成績を大きく左右します。
気になる症状がある場合には、早めに動物病院を受診しましょう。
実際にあった脾臓腫瘍破裂と貧血の症例
当院でも、急なふらつきとぐったりを主訴に来院し、重度の貧血が判明した症例があります。
検査の結果、脾臓腫瘍の破裂による腹腔内出血が原因でした。
本症例は輸血と緊急手術を行い、その後状態は安定しました。
犬の脾臓腫瘍破裂の症例紹介はこちら
症例の詳細や治療の流れについては、上記の記事をご覧ください。

まとめ
犬の脾臓腫瘍は、出血によって急激な貧血を引き起こすことがあります。
歯ぐきが白い、ぐったりしている、ふらつくといった症状は緊急性が高いサインです。
「様子を見よう」と考えている間に、状態が急変することもあります。
このような症状がみられた場合には、早めに動物病院へご相談ください。
当院では、脾臓腫瘍による出血や貧血の診断、輸血対応、緊急手術まで対応しております。
気になる症状がある場合には、お早めにご相談ください。
愛知県名古屋市西区
庄内通どうぶつ病院

